[図表(1)]の共済金および解約手当金は、受取方法などで税法上の取り扱いが異なり、税額も違ってきます。具体的なケースで見てみましょう。
例:共済金または解約手当金1,000万円、他の所得なし、扶養親族なし、健康保険料20万円の場合
①共済金(準共済金)を一括で受け取る
例えば、勤続年数25年の方が1,000万円の共済金を一括で受け取った場合、方の算式により退職所得控除額は1,150万円。退職所得の金額は0円となり、所得税はかかりません。
②解約手当金として受け取る場合
「一時所得」の扱いになり、[(収入金額-収入を得るために支出した金額-50万円)×1/2に対して課税されます。解約手当金1,000万円を受け取る場合は、[(1,000万円-0円-50万円)×1/2]となり、一時所得の金額は475万円。ここから社会保険料控除20万円・基礎控除38万円を差し引いた417万円が課税所得となり、所得税406,500円がかかります。
③共済金を分割で受け取る場合
「公的年金等の雑所得」扱いになります。例えば、65歳以上の方が、1,000万円の共済金を15年で受け取るケース(年間の国民年金80万円・共済金72万円)で計算すると[80万円+72万円-120万円(公的年金控除額)=32万円(雑所得の金額)]。雑所得の金額から社会保険料控除20万円、基礎控除38万円を差し引くと課税所得は0円となり、このケースでは所得税はかかりません。
④契約者が亡くなり遺族が共済金を受け取る場合
相続税法上、「退職手当金等」として扱われ、退職手当金については[500万円×法定相続人の数]が非課税限度額として設定されています。例えば、法定相続人が2人の場合、非課税限度額は1,000万円となり、1,000万円の共済金に対して相続税は課税されません。